飛行機雲はなぜできる?

あれこれ

「飛行機雲はなぜできる?」かについてはいろいろな方が説明されていますが,ここではちょっと違った視点で飛行機雲について考えます。飛行機雲について皆さんの理解が深まり,飛行機雲を見つけたときにもっと「わくわく」できればいいなと思います。

どうして飛行機雲ができるのか?

雲は何でできているかというと「水滴」や「氷の粒」なので,飛行機雲も水滴や氷の粒がどこからか出てくる必要があります。その原因として以下のふたつが考えられます。

  1. 飛行機のエンジンから出てきた排気ガス
  2. 飛行機の翼などで空気の圧力が低くなり,断熱膨張により空気温度が下がって空気の中の水分が凝縮するもの(大気中の空気が上昇し,圧力が下がることで雲ができるのと同じですね)

まずは,エンジンについて考えます。飛行機の燃料は「ケロシン」というもので,最近ではこれに天ぷら油を混ぜて作った燃料を使い,実質的なCO2排出量を減らそうという試みもされています。燃料の分子には炭素Cや水素Hが入っているので,燃やせばCO2やH2O(水)が生成され,エンジンから出てきます。

人間が吐く息の中にも水が入っていて,冬には息が白く見えることがあります。あれはいわば「人間雲」と呼んでもいいものですが,すぐに消えてしまい長く残るようなことはありません。また,人間雲もいつも出るわけではありません。寒い冬で周りの風が穏やかなときに出るのではないでしょうか。飛行機は人間に比べてとてもたくさんの水分をエンジンから出しています。ですから,もし飛行機雲ができれば遠くから見てもわかるほど大きな飛行機雲ができます。でも,エンジンから出た水分はどのようなときに雲となるのでしょう? 飛行機から出てきた排気ガスの温度は高いのですが,飛行機は高いところを飛んでいるので,周りの空気は地上に比べてとても温度が低いです。排気ガスは周りの空気で冷やされて温度が下がります。このとき,エンジンから出た水分は以下のようになります。

  • 周りの空気が乾いていれば水滴や氷の粒になることなく周りに広がっていき飛行機雲ができない
  • 周りの空気が湿っていれば水滴や氷の粒となって飛行機雲ができる

以下の写真にエンジンから出た排気ガスが冷やされて飛行機雲ができている様子を示します。この飛行機にはエンジンがふたつあり,それぞれのエンジンの排気ガスが冷やされて飛行機雲ができていることがわかります。また,エンジンから出たすぐのところでは排気ガスの温度が高いので,エンジンから少し離れたところから飛行機雲ができています。

飛行機雲

つぎの写真はエンジンが4つある飛行機の例です。エンジンが4つになると飛行機雲も4本になることがわかります。ただ,この写真には写っていませんが,飛行機から離れたところでは2本づつの飛行機雲が合体して1本になるという面白いふるまいをするのですが,それはまたの機会に説明します。

飛行機雲

空気の圧力が下がって飛行機雲ができた例を示します。以下の2枚の写真は同じ飛行機を撮影したものですが,飛行機雲の様子が全く違うことがわかります。空気の湿り具合が異なっているためこのような違いが生じていると考えられます。上側の写真はエンジンの排気ガスが冷やされて飛行機雲ができているだけです。これに対し,下側の写真は空気がより湿っているために,翼の上面などで減圧された空気から水滴が発生し,飛行機の後方側全体にわたって飛行機雲が広がっているのがわかります。また,飛行機雲に少し色がついていますが,これは飛行機雲を構成する水滴が太陽の光を回折して生じるもので,飛行機雲彩雲といいます。これも別の機会に詳しく話します。

飛行機雲
減圧により生じた飛行機雲

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