愛する飛行機雲彩雲

あれこれ

レアできれいな飛行機雲彩雲を紹介します。1972年~74年頃,日曜日の夕方6時からやっていたアニメで「科学忍者隊ガッチャマン」というものがありました。その中に「科学忍法・火の鳥」という必殺技があってワクワクして見ていたものです。私の中で飛行機雲彩雲はその「火の鳥」を彷彿とさせるもので,その美しさに魅了されています。

いろいろな飛行機雲彩雲

私が撮りためた飛行機雲彩雲画像をドーンと並べます。飛行機は上空数6000~11000mの高さを飛んでいるので,撮影には高倍率のズーム機能をもったカメラが必要です。私は光学40倍のコンパクトカメラを愛用しています。飛行機雲彩雲の特徴をわかってもらうため,同じ日に同じ飛行機をわずかな時間差で撮影した写真を2枚ずつ並べます。

まずは2019年10月5日15時頃撮影したものです。減圧による飛行機雲の出方に差があり,減圧によって出た飛行機雲の方が色付きが良いことがわかります。彩雲は水の粒で光が曲がり(回折),回折した光が干渉して起こる現象です。そのため,水の粒の径や粒の数密度,太陽との相対的な位置関係で見え方が変わってきます。この場合,減圧でできた水の粒の方が粒子径がそろって干渉が起こりやすいとか,水粒の数密度が排気ガスでできた飛行機雲より小さく,光が透けやすいなどの原因で減圧でできた飛行機雲に彩雲ができているものと考えられます。

飛行機雲彩雲
飛行機雲彩雲

つぎは,2022年5月2日8時20分頃に撮影したものです。上の写真は黄色が主ですが,下は赤っぽくなっています。この場合も,上記の写真と同様に,減圧でできた飛行機雲が発生していることがわかります。飛行機雲の水滴径の分布が両者でほぼ同じと考えてもよいと思いますので,色の違いは太陽との相対的な位置関係によるものと考えます。また,彩雲とは関係ありませんが,主翼の端を飛行機の後方に延長した線の上に白い雲がまっすぐ伸びていますが,これは翼端渦による減圧によって生じた雲だと推定します。翼端渦についてはまたの機会に説明します。

飛行機雲彩雲
飛行機雲彩雲

つぎの写真は上の写真の10分ほどあと,2022年5月2日8時30分頃撮影したものです。排気ガスでできた飛行機雲の間に彩雲ができており,飛行機よりかなり後方までそれが見えています。

飛行機雲彩雲
飛行機雲彩雲

彩雲の色調も違います。見ただけではわかりにくいかもしれませんので,解析ソフトを使って色の解析をしてみました。飛行機から後ろの彩雲部分の色を光の三原色RGBに分けて,どの色が優勢かをみました。色の分布の違いは,太陽との相対位置の違いによるものが主要因だとは思いますが,これだけ色が違うというのもなかなか興味深いですね。より詳しい方が見えたら,是非ご教授いただけると嬉しいです。

最後は2022年5月29日8時20分頃に撮影したものです。これはエンジンがふたつの飛行機で,翼の減圧による飛行機雲も見られます。見た目には,排気ガスでできた飛行機雲がオレンジ色~紫色に着色しているのが目立ちます。また,飛行機の光の反射具合を見ると,飛行機の後方左側に太陽はいたようですね。下の写真は,そのあとすぐに撮影したものですが,彩雲は消えてしまいました。

飛行機雲彩雲
飛行機雲彩雲

奥の深い飛行機雲彩雲

ネットで飛行機雲彩雲と検索すると「こんな珍しい写真が撮れました」という記事が多いです。しかし,これまで見てきたように,飛行機雲のでき方や,太陽との相対位置の違いによって,それはいろんな顔を見せてくれます。なかなか出会えないものではありますが,もっと観測数を増やして,突き詰めていきたいと思います。

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