皆さんはブルーインパルスを見たことがありますか? 昨年,私は出張で石巻に行く機会があり,ブルーインパルスのふるさと,松島基地の近くを電車で通りました。駅前(JR仙石線,鹿妻駅)にブルーインパルスの機体が飾ってあってビックリしました。
ブルーインパルスは自分で煙を出してくれるので,飛行機雲のできる条件がそろうことを待つ必要がなく,飛行機雲(のようなもの)を楽しむには最適です。また,戦闘機は一般の旅客機とは機体の作りが全く異なるので,旅客機では普段見られない飛行機雲が見えたりします。それらについて考えてワクワクしましょう。
ブルーインパルスの煙のもとは?
皆さんはブルーインパルスの煙をどのように出すか知っていますか? 下の写真は煙を出しているところをとらえたものです。エンジンの排気口の近くにオイルを供給する口があり,高温の排気ガスにオイルを供給して蒸発させ,これが周りの空気によりすぐに冷やされてオイルが凝縮します。凝縮したオイルは微粒子となって煙を形成します。流れの可視化実験でスモークワイヤー法というのがありますが,あれはニクロム線にオイルを塗って,ニクロム線を通電加熱して発煙させます。そのようなものと同じ原理ですね。
ブルーインパルスの機体にはエンジンがふたつありますが,煙を出す装置は片側のエンジン(進行方向に向かって右側)にしか付いていません。下の写真はそれがわかるものです。白煙は片方のエンジンから出ています。発煙装置の付いていないもうひとつのエンジンからは,燃焼条件の影響でうすい黒っぽい排気ガスが出ています。
ブルーインパルスの煙の振る舞い
普通でしたら,ブルーインパルスの作るハートマークなどを紹介するところですが,ここでは,流れ的に面白いものを紹介します。まずは2023年11月12日に岐阜基地オープンエアベースで撮影したものです。翼端渦に煙が入り込み,渦管を形成している様子が可視化されています。よくある渦管は段ボールで作った空気砲です。空気砲は円環状になった渦管ですが,ここの渦管のもとは飛行機の翼端部に発生した翼端渦で直線状です。
つぎに,2023年10月29日に浜松基地オープンベースで撮影したものを示します。青空をバックに渦管があることがわかります。
渦管の一部が分離すると,馬蹄形や円環状の渦管を形成します。自然界にも馬蹄雲というのがありますが,結構レアなものです。ブルーインパルス起源の馬蹄雲もあるのですね。
下の写真は空気砲から出た渦管みたいですね。きれいな円環状になっています。
渦管と渦管が相互作用すると,コブの形を形成することもあります。下の写真を見てください。飛行機が残した煙たちにたくさんのこぶができています。通常の飛行機雲でもコブができて垂れているような形状になることがあります。このあたりの話は,またの機会に翼端渦の相互作用のことをお話しするときに詳しく説明するつもりです。
いかがでしたか? ブルーインパルスの新しい楽しみ方を見つけることはできましたでしょうか?
ブルーインパルスの内容は盛りだくさんなので,ひとつの記事では収まりませんでした。つぎの記事で戦闘機特有の飛行機雲について説明します。