飛行機雲の話がひと段落したので,少し違うお話をします。
絶対温度の単位でケルビン(K)というのがあります。他の単位と同様に,これは人の名前をいただいています。皆さんはケルビン(Kelvin)さんの顔を見たことありますか? 私はあります。今日はそのお話をさせていただきます。
気象や熱力学で縁の深いケルビンさん
雲のなかで一番インパクトのあるもののひとつが「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性」の波状雲ではないでしょうか? 自然の中でこんなきれいな波の形ができるのはとても不思議です。
また,水の波になりますが船や水鳥が水面を進んだときにできる航跡波は「ケルビン波」と呼ばれています。ちょっと難しいですが,気象で大気循環のことを説明するときも慣性重力波として「ケルビン波」が出てきます。
ケルビンさんの故郷はイギリス
イギリスなのでケルビンさんは爵位を持っていて,爵位に由来する「ケルビン卿」から「ケルビン」さんと呼ばれています。本名は「ウィリアム・トムソン」さんです。ノズルの噴流の関係で「ジュール・トムソン効果」というのがあるのは知っていましたが,これはケルビンさんの本名が付いているもので同じ人が関係していたみたいです。びっくりです。
イギリスのグラスゴー大学に縁の深い方で,若いころはそこで学ばれ,晩年にはそこで総長をされています。私はグラスゴー大学に行って,ケルビンさんの銅像に会ってきました。
グラスゴー大学のケルビンさん
下の二枚の写真はグラスゴー大学の外観です。設立は1451年,日本は室町時代です。建物から歴史を感じます。
この人が「ケルビン」さんです。中学か高校のときに絶対温度を習って以来,ケルビンさんの名前を忘れることはありませんでした。ケルビンさんが過ごされていた場所やこのような立体的な像を拝見して,より身近に感じることができました。ケルビンさんにあやかり,私も新発見に向けて精進しようと思いました。
皆さんも,イギリスのスコットランド地方へ行く機会があればグラスゴー大学に行き,ケルビンさんに会ってみていいかがでしょうか。