身近な火山・噴火災害に備えよう

災害に備えよう

近所の山の上や,濃尾平野のいたるところから御嶽山を見ることができます。また,日帰りで手軽に登れる山なので,ほぼ毎年登りに行きます。このようにとても身近な山ですが,2014年の噴火のときは衝撃を受けました。いまでは,観測が強化され噴火の予兆をとらえる努力もされています。山に登る我々も適切に情報を入手し,万一の備えをして登るようにしていきましょう。

御嶽山の噴火(2014年9月27日)

下の写真は噴火の1年前,2013年8月3日に御嶽山頂上付近を撮影したものです。頂上付近の山小屋が健在で,頂上には登山者の姿も見えます。登山道の白装束の方々は,「六根清浄」と唱えながら登られていたことを覚えています。昔から御嶽山は信仰の山で,皆さんに愛されてきました。

噴火前の御嶽山

つぎに見ていただく写真は噴火後に登山が解禁されたあと,2020年8月1日に頂上付近を撮影したものです。噴石が飛んできてダメージを受けた山小屋がまだ残っています。噴火当時は多くの人がここに逃げ込み,九死に一生を得ました。

噴火後の御嶽山

2020年8月は噴火から6年ほどたっていましたが,一ノ池・二ノ池方面を見ると(下の写真)積もった火山灰がまだ残っており,それらが雨で浸食されている様子がわかります。

噴火後の御嶽山の様子

下の写真は上の写真の1年後,2021年7月25日に頂上から山小屋があった方向を撮影したものです。
多くの命を救った山小屋もいまでは解体され,シェルタ(写真左側,3個の黒い直方体)が設置されています。いろいろな人の努力で安全な登山ができるようになってきていると感じます。

噴火後の御嶽山頂上直下の様子

階段下に石でできた立方体のものが見えます。これは噴火災害慰霊碑です。あの災害を忘れないようにし,いつまでも皆さんが安全に登山ができるようにしていきたいですね。

御嶽山噴火災害慰霊碑

噴火の予兆をとらえるために

噴火の予兆をとらえるために,いろいろな観測を行っています。下の写真は御嶽山の登山口のひとつである中の湯にある名古屋大学の観測施設です。駐車場のところにありますので,すぐにわかります。どんな計測器があるのかを調べてみました。雨量計はおなじみかと思いますが,空振計,地震計,傾斜計,GPSなどがあります。空振計は「噴火等に伴う空気の振動を観測するもの」です。
詳しくは以下のサイトにありますので参考にしていただければと思います。
https://www.seis.nagoya-u.ac.jp/center/kovo/observation

御嶽山の火山観測施設

さらに,御嶽山の稜線上には地磁気の測定やGNSS(精度の高いGPSのようなもの)があります。

御嶽山の火山観測施設

また,焼岳に登ったときには京都大学の火山観測器に出会いました。このような研究者の地道な努力で火山の内部の様子が捉えられようとされており,私たちの安全確保に役立てられています。御嶽山噴火のときのような惨事が再び起きることのないようにしていきましょう。

焼岳の火山観測施設

火山への登山

以上のような様々な方の努力の上に安全が確保され,私たちの登山が支えられています。私たちも自分事として安全確保に努めたいですね。以下に私もよく登る火山たちの写真を示します。ひとつめは,穂高から見た焼岳,乗鞍岳,御嶽山です。みっつの火山が一望できます。それぞれ特徴のある山で,何度でも登りたくなります。

穂高岳からの焼岳と乗鞍岳と御嶽山

ふたつめは白山です。この写真は,大汝峰から翠ケ池,剣が峰,御前峰を望んだものです。翠ヶ池は火口湖で1042年(平安時代)に起きた水蒸気爆破によってできたと考えられています。まさに火山であることを示しています。

白山

最後は富士山です。御殿場ルートから山頂方向を写した写真です。道標の左側の起伏は宝永山です。宝永山の脇には宝永火口があります。1707年(江戸時代)の宝永噴火のときの火口です。宝永噴火は宝永地震(南海トラフ地震)と連動した可能性が指摘されており,次の南海トラフ地震のときにも富士山が噴火するのではないかと心配されています。富士山へは毎年たくさんの人が登られるので心配です。

富士山御殿場ルート

自分事として考えよう

登山は楽しいものです。ですが,火山の噴火に遭遇したりすればひとたまりもありません。多くの方が努力し,皆さんの安全を確保しようとしてくれています。皆さんも自分事として考え,登山前の情報確認と対応する装備の準備をきっちりされることを願っています。

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