河川の水位・海の潮位の測定について知ろう

災害に備えよう

2023年6月2日,豊橋や豊川で水害が発生しました。詳しくは豊橋市が下記の報告書を出しているので見ていただくとして,私の経験をお話しします。
参考)https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/107545/
たくさんの雨が降った次の日(6月3日),豊橋・豊川方面がそんなことになっているとは知らず,いつものように本宮山へ登りに行きました。本宮山登山口まで自動車で行ったのですが,路肩に水没して動けなくなった車が放置されているのを見て,いつもと違うということにはじめて気が付きました。私が通った道路はすでに水が引いていたので,車が放置されて止まっているような状況でした。
最初の写真は本宮山山頂から豊橋方面を見たもので,街に水が貯まっているところが見えました。

下の写真は三河湾方面を見たものです。豊川(とよがわ)などの河川から流れ込んだ濁流により,海が泥水の色になってしまっていることがわかります。
このような水害に備えて,河川には水位を測定する装置が設置されています。また,海には高潮や津波の観測をするために潮位を測定する装置が設置されているところがあります。今回は,そのような水位を測定する装置について紹介します。これらの観測データは国土交通省のサイト「Xrain」などで簡単に見ることができます。

河川の水位

Xrainの地図を拡大すると,水位観測所の水位が正常なのか,どのくらい危険なのかを色で示しているマークがあることがわかります。また,地図上のこのマークをクリックすれば,時間変化などの詳細情報を得られます。このような水位を測っている装置について考えたことはありますか? 今回はその装置について紹介します。装置のことを知れば,この水位データに対する親近感がわき,防災情報に少しでも関心を持っていただけれるものと思います。

水位計にどんなものがあって,どんな特徴があるかはいろいろな資料にまとめられているので,そちらを参考にしてください。例えば次のようなものがあります。
水位計の参考)https://www.akasakatec.com/blog/4703/
以前,私はエアコン関係の仕事をしていたので,高圧タンク内での液面高さを知りたいとかあって液面計のことはよく勉強しました。気象関係のものは屋外で使ったり,大雨や台風などの強風下で使われたりして,これはこれで特有の難しさがあるのだと思います。

近所を探したら,原理の異なる2種の水位計が設置されていたので紹介します。ひとつめは超音波式水位計です。装置から超音波を出して水面で反射して戻ってくる時間から液面高さを測るものです。音の速さは温度によって変化するので,温度も測って音速の変化を考慮して水面高さを測定しています。川にかかっている橋に簡単につけられるので,設置は楽ですね。
装置に書いてあるメーカ名や形からカタログを見つけました。
参考)https://www.oki.com/jp/dps_core/watergage/
LTE(Long Term Evolution:携帯電話の通信規格)無線装置とあるので,水位計のデータは携帯電話のネットワークを使って送っているようです。だから,Xrainなどですぐデータが見られるのですね。

超音波式水位計

つぎの装置は電波を使ったものです。下の写真にそれを示します。これも太陽電池で動いており,外部から給電しなくてよいので簡単に設置できます。また,電波が伝わる速さは温度の影響を受けないというところが超音波式と異なります。
参考)https://www.tokyokeiki.jp/products/detail.html?pdid=234

電波式水位計

海の潮位

川の水位が測定できるなら,海の海面高さも同じように測ることができます。海面高さを観測する施設もあります。下の写真は蒲郡の形原潮位観測所の外観です。この施設は,漁港の中にあって波は比較的穏やかなところで測定を行っています。それでも,波の影響を抑えて,平均的な海面高さを測定するために,図に示すような検潮井戸を設け,そこの水面高さを水位計で測定しています。検潮井戸と海は海面より下側で導水管でつながっています。導水管が絞りになっているので波による高さの変動成分が抑えられ,検潮井戸の中の水面高さは時間的に平均的なものになります。

潮位観測所

いかがでしたか? 水位を測るところなんて興味を持ったことなどなかったのではいでしょうか。気を付けてみていると結構いろいろなところにあるので,自分でも探してみるといいと思います。そして,気象データをより身近なものに感じていただき,身を守る参考にしていただきたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました