防災士の資格を取るときの講習で,「自助」「共助」「公助」という概念を習いました。災害が発生したらまずは自助・共助で対応しますが,公助に頼るところも大きいです。私は愛知県がどんな備えをしているのか知りたくて,県や国の防災施設を見学する研修に参加しました。これまで,このブログで防災のための計測装置などを見てきましたが,今回は県がそれらの情報を活用して動くための施設についてみることにしましょう。
国土交通省,災害対策本部室
まずは国土交通省,中部地方整備局の災害対策本部を見学させていただきました。災害対策をコントロールする司令塔の役割を果たします。建物は免震構造,非常用発電機を備え,大規模地震災害時でも機能を確保します。下の写真をご覧ください。各地に設置したカメラの画像を自在に映し出し,被災状況をリアルタイムに確認することができます。
愛知県の災害情報センター
つぎは,愛知県の災害情報センターの様子を示します。いろいろな部署の方がここに集まって喧々諤々しながら対応を決めていきます。いったん災害が起これば,24時間体制で事に当たられることかと思います。常日頃訓練されているとは思いますが,大変な状況になるであろうことは容易に想像がつきました。
部屋の机の上には東海地方の大きな地図もありました。たくさんの人が意思疎通しながら迅速に進めるには,このようなアナログなものも有効だと思います。南海トラフ地震が起これば,広い範囲で被害が想定されているので,このような大きな地図で全体像を把握し,的確な判断ができればいいなと思います。
そして,会議をするために下に示すような災害対策本部室も設けられています。この部屋の中は普通の会議室でした。愛知県は名古屋城の近くにある愛知県自治センターにこれらの施設を集約し災害対応に当たっています。
各地との通信や情報収集
災害時の情報収集も大事です。そのために,衛星回線やマイクロ波を使った無線回線などを使ってネットワークを構築しています。最近は,通信衛星のコストも下がってきているので,最適なネットワークって何だろうと考えながらシステム構築されていると思います。能登地震のときは過疎地で衛星電話が活躍しました。設備の更新時期やコストの兼ね合いもあるとは思いますが,よりよいシステムにしていってもらえることを願っています。
通信ネットワークの一部である通信局を見せていただきました。地震に備えて耐震構造をしており,その上にパラボラアンテナが設けられています。よく見ると,パラボラアンテナの横の建物の上には雨量計がありました。さすが防災設備です。
下の写真はパラボラアンテナの下にあるコントロール室です。ディスプレイには「高度情報通信ネットワーク」の稼働状況が表示されていました。
床には3次元免振装置があることがわかります。
先ほど通信ネットワークを構築しているといいました。マイクロ波を使う場合には,下に示すような無線中継所を設置しています。写真は国土交通省の本宮無線中継所です。電波塔にはたくさんのパラボラアンテナが付いており,電波を中継しています。
本宮山の頂上にはたくさんの電波塔が立っています。その理由は,本宮山山頂と名古屋方面の間には遮るものはなく,静岡方面も大変見通しが良いため電波が遠くまで届くからです。
つぎは,ヘリコプターのテレビ電送システムの画面です。ヘリコプターがどこにいて,そこの状況がどんなものかリアルタイムにモニタ出来るようになっています。被災状況は画像で見るのが一番わかりやすいので,このようなシステムが活躍してもらえると心強いですね。
まとめ
これまで,「アメダス」「火山」「気象レーダ」「河川水位」「海の潮位」「震度計」などの測る方のモノについて紹介してきましたが,今回はそれらのデータを使って,人がいかに災害に対応できるようにしているかを見てきました。これで,防災のハード面の話は一区切りになります。これまでの情報を参考にしていただき,「自分はどのように災害に備えることができるか」を考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。