みなさん,モリアオガエルはご存じでしょうか?
トノサマガエルやアマガエルなど,そこら辺の田んぼに住んでいるカエルは水の中に卵を産みます。ゼリーみたいなものの中に,黒い小球状のものがたくさん入っているのを田んぼで見かけたことがある方も多いかと思います。
これに対し,モリアオガエルは水中に卵を産みません。ではどこに産むのでしょうか?
今日(2024年5月12日),いつものように本宮山へ登りに行ったのですが,山頂近くでモリアオガエルの卵を見つけました。今回はその写真を見ながら,一緒に考えましょう。
モリアオガエルは木の上に産卵
下の写真はモリアオガエルの卵を撮影したものです。緩衝材で使われる発泡ウレタンみたいに見えます。卵がどこにあるかといえば,木の上です。この白い塊は「泡巣」と呼ばれていて,中は泡状になっており,表面が乾いています。発泡ウレタンも中は泡がいっぱいなので,外見が似ているのもうなずけます。メスが卵を産むときにオスが飛びついて精子を混ぜ込むみたいですが,その時にオスが何匹も来て精子を混ぜ込むこともあるので,その場合,精子君たちは卵を目指して壮絶な競争をするようです。また,泡巣を作るとき,シャビシャビだと下に垂れて落ちてしまうので,粘度が高い(ねちょねちょ)状態にあります。精子君たちはそのような環境で動きやすいように,回転しながら前進する独特な動きをします。
参考)https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2009/090409_1
モリアオガエルの卵は水の上
木の上に設けられた泡巣において,やがて卵からオタマジャクシが生まれます。木の上にいるオタマジャクシはどうなるでしょうか? 落ちますね。オタマジャクシはトノサマガエルのモノと同じように水中で生活しますので,落ちた先が陸地だったらオタマジャクシは死んでしまいます。そのため,落ちた先が水となるように,泡巣は水の上に作られます。モリアオガエルはとても賢いですね。
下の写真は今回見つけた泡巣周りの様子を写したものです。泡巣の下は池だということがわかります。池があるので,これで安心してオタマジャクシは生まれることができます。ただし,オタマジャクシが落ちてくる場所を天敵に悟られると,そこで天敵が待ち構えていることもあるようなので,生きていくのも大変です。
卵は1週間ほどで孵化するようなので,1週間後に本宮山に行った時には,この泡巣もなくなっていることでしょう。オタマジャクシたちが元気で育つことを願っています。