花粉光環とブロッケン現象

あれこれ

前の記事では彩雲・光環についてお話ししました。今回はその続きとして,花粉光環とブロッケン現象について見てみましょう。

花粉光環

花粉光環とは,その名のとおり花粉によってできる光環です。スギ花粉などが大気中に含まれると花粉によって光が回折し,回折光が干渉して太陽の周りに色のリングを作り出します。雲粒で作られる光環に比べ,色のリングはきれいな同心円を描きます。回折を起こす花粉の粒子径がきれいにそろっているからです。一番最初に出ている花粉光環の写真と下の写真は同じ日に撮影したものです(2024年2月26日撮影)。写真に撮るときは,強烈な太陽の光を何かで隠すときれいに写ります。また,光環の色付き具合をより分かりやすくするため,下の写真では画像処理を行っています。画像処理により,一番外側の赤っぽいリングがより分かりやすくなっています。

花粉光環

下の写真は朝日に花粉光環が出たものです(2019年3月17日撮影)。朝日のため基本は橙色なのですが,紫色っぽい環の内側は黄色が濃く,その外側は橙色から赤っぽい色になるような色の分布をしています。

朝焼けの中の花粉光環

ブロッケン現象

つぎはブロッケン現象です。山登りをやる方の間では有名な現象なので知っている方も多いと思います。山の稜線上で太陽を背に立ったとき,太陽と反対側に雲があると見ている自分の影の周りに後光がさしているように見える現象です。下の写真(2012年8月12日 15時50分撮影,画像処理あり)は槍ヶ岳に登ったときのものです。ちょうど槍の穂先に立っていたとき,雲が通って槍の穂先の影が雲に映りました。そこにブロッケン現象が現れました。運がいいとしか言いようがありません。

槍ヶ岳から見たブロッケン現象

つぎの2枚の写真は飛行機から見たブロッケン現象です。イギリスのグラスゴーからロンドンへ行く国内線の飛行機から撮影したものです(2004年9月2日撮影)。1枚目は画像処理なし,2枚目は画像処理して色を強調しています。
1枚目はブロッケン現象全体が雲に映って円形になっていますが,2枚目はちょうど雲と青空の境目にブロッケン現象が現れ,半円となっています。半円のブロッケン現象というのも珍しいのではないでしょうか。

飛行機から見たブロッケン現象
飛行機から見たブロッケン現象(半円)

花粉光環とブロッケン現象を見てきました。花粉光環はよく出ているいう話を聞くのですが,太陽は明るいので,普段,太陽付近を見ることはなかなかないと思います。ですから,私の花粉光環コレクションは今回紹介したものだけになります。また,ブロッケン現象は条件がそろうときがなかなかなく,また,カメラをザックから出しているあいだに雲が行っちゃったみたいなことがあって,私の写真にあったのはこれだけになります。もっと山に登って,いろいろな写真を撮れるようにしていきたいと思います。そして,皆さんに紹介できれば嬉しいです。

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