大気光学現象の中で最もよく見かけるのは「内暈(日暈)」です。「また今日も出ているな」と思うくらいで,しっかり見たことがないかもしれません。今回は,たくさんの内暈の写真を掲載しますので堪能いただければと思います。
内暈と月暈
内暈は大気中に漂っている氷の粒によってできます。氷の粒は水の結晶なので,水分子の結合の関係で六角形の板状や柱状の形状をしています。この氷の粒を太陽の光が透過するときに屈折し,ある特定の方向の光が強く見えるため内暈が現れます。光が氷の粒を透過するとき,プリズムと同じように色が分かれて色付いて見えます。詳しことを知りたい方はより専門的な資料を見ていただければと思います。
参考)https://hr-inoue.net/zscience/topics/rainbow2/rainbow2.html
下の写真(2024年5月2日撮影)はきれいに円を描いた内暈です。さらに下の写真(2022年3月14日撮影)は月のもので,条件がそろえば,太陽だけでなく月でも内暈(月暈)ができます。内暈の色は,普通の虹(主虹)の色の並びとは反対で,内側が赤色です。他の色については,氷の粒がバラバラな方向を向いていたり,氷の粒の形がきれいにそろっていなかったりする関係で色が混ざってしまい白っぽく見えることが多いです。また,内暈の赤い色より内側は,赤色の外側の部分に比べ暗くなっていることがわかります。これは,内側に氷の粒を透過した光が来ていないためです。
いろいろな空に現れた内暈
雲の様子によっても内暈の見え方は変わります。下に3枚の写真を示します。それぞれ,雲の厚さが異なります。1枚目(2022年3月4日撮影)は雲が厚めで,内暈の背景が白っぽくなっています。写真撮影に対しては,雲で太陽の光が弱められたため太陽を隠さずにきれいな写真が撮れて好都合でした。
2枚目(2023年2月6日撮影)は,1枚目に比べ雲が薄いです。太陽を街灯で隠して撮影しました。
3枚目(2023年5月3日撮影)は青空がかなり広がっています。雲がかなり薄いところでも内暈はかろうじて見えており,円形状をキープできています。
内暈と幻日
最後の写真(2023年2月11日撮影)は,内暈と幻日が一緒に現れたものです。幻日は円形状の内暈の左右に光の点として見えています。これも内暈と同じで太陽に近い側が赤く色付きます。幻日が現れるのも氷の粒が関係しています。幻日もかなりの頻度で見ることができます。しかし,見え方にいろいろあるので,その時々の見え方を楽しむのもよいと思います。
まとめ
内暈が現れると上空の空気が湿っている証拠で,天気が下り坂のサインともいわれます。このようなきれいな現象が見られるのであれば,下り坂の天気も良いものだと思います。次回も内暈についてお話しします。上空が湿っているということは,飛行機雲の現れるチャンスでもあります。内暈と飛行機雲の共演について見ていきます。お楽しみに。