地震といえば液状化現象の発生がつきものです。輪島では発災当時のままのところが多く残されており,液状化したと思われる名残を見ることができます。また,水道管が地震で壊れたあと,緊急の復旧措置として地上に水道管を設置してあるところがありました。今回はそれらを見ていきましょう。
街中で見られる液状化現象のなごり
下の写真(2024年8月11日撮影)は輪島市街地で見かけた噴砂の跡です。噴砂とは地面の下の砂層が液状化すると,砂層が支えていた力を地下水が受け持つために地下水の圧力が高まり,地下水とともに砂が地面から噴き出す現象です。写真では地下水が乾いて砂が残っています。また,道の反対側に建つ家の門柱を見てください。右側の門柱はしっかり立っていますが,左側の門柱の足元は液状化したみたいで,門柱が地面に沈み込んで傾いています。また,駐車している白い車の横の家を見ると,不同沈下(家全体が均等に沈下するのではなく,一方向に斜めに傾いた状態)して傾いている様子が見えます。基礎部分で液状化して家を支えきれなくなった結果と考えられます。
下の写真は道路で見かけたマンホールの浮き上がりです。マンホールは地下に埋設された下水管などとつながっており,その周りが液状化すると下水管などが浮き上がろうとするため,このようにマンホールが浮き出てきます。水の中に風船があると浮力が働くのと同じです。
下の写真でも,液状化によりマンホールが浮き上がっています。また,その向こうの歩道では,歩道に敷き詰めてあるブロックが盛り上がっています。この推定原因は,液状化により歩道の右側にある家が歩道側に移動してブロックを押したものと考えられます。歩道右の家の土台部分が液状化するとそこも自由に動けるようになり,何も建っていない歩道側にせり出した(側方流動)と思われます。
今回,輪島の各地を見た中で,側方流動で家が傾いた場面をよく見ました。例えば,川沿いで川側に側方流動するもの,山の斜面に造成された団地で高い方から低い方に向かって側方流動するものです。液状化が起こると,そこで地震動が吸収されるため,液状化が起こったところの家自体のダメージは比較的軽微でした。しかし,家の傾きや,基礎の破損など,見た目ではわかりにくい大きなダメージを受けているところが多いように感じました。
下の写真は輪島漁港近くの道路を通ったときに撮影したものです。液状化の影響がかなり大きく出ており,歩道はぐちゃぐちゃだったり,家が沈下して傾いている様子がわかります。
水道管整備
今回の能登半島地震では,水道設備のダメージが大きく,水道がなかなか復旧しないというニュースがありました。道路沿いに仮設水道管を見かけたので紹介します。歩道の横に青色の水道管が延々と続いています。水道管の表面の品番をみると「エスロハイパー JW 」とあります。製品情報は以下のサイトに掲載されていました。
参考)エスロハイパーJW https://www.eslontimes.com/system/items-view/2/
ポリエチレン管で,軽量・柔軟性があるなど,いろいろな特徴があるようです。ここでは呼び径200のものが使われていたので,外径Φ250,板厚t=22.7となります。
柔軟性があるので,駐車場の出入口をこの管が横切るときは,そこだけ地中に埋めるなどフレキシブルな施工がされていました。また,黒い袋は固定用の重りだと思われます。
いまでは便利なものがあるのだなと感心しました。
まとめ
液状化や水道管整備の様子を見てきました。地震から半年以上過ぎても発災当時の様子がかなり残っているので,今回のような報告ができてしまいました。早く街の様子が正常時に戻り,普段の生活を取り戻せたらよいと思います。