環天頂アークは太陽より天頂に近い側にできるU字型の虹色の帯です。氷の粒を太陽の光が通過することによりでき,きれいな虹色になります。今回はそんな環天頂アークを見ていきましょう。
環天頂アークはなぜできる?
環天頂アークができるためには,六角形の平板状である氷の粒が空気中で水平方向に向きをそろえてふわふわ浮かんでいる必要があります。これは幻日のときと同じ条件ですね。ですから,環天頂アークが見えるときは幻日も見えることが多いです。幻日は氷の平板の側面から光が入って,側面から出ていく経路でしたが,環天頂アークの場合は上面から光が入って側面から出ていく経路になります。太陽から46°離れた天頂側にできますが,太陽高度が高すぎると氷の平板の上面から側面に抜ける光路が成り立たなくなるので,太陽高度が32°より高いと原理的に環天頂アークはできません。今回の写真では,参考のため太陽高度が示してあります。
下の写真は内暈がきれいに出ています。内暈は太陽から22°のところにできるので,写真から太陽と内暈の距離Aに対し,太陽から46°離れたところの写真上の距離をBとして線を引くと,ちょうどそこに環天頂アークがあることが確認できます。
太陽高度によって変化する環天頂アークの形
環天頂アークはU字型をしていますが,その形は太陽高度によって変化します。環天頂アークの形状は,天頂方向を中心として角度(90°-(太陽高度+46°))の位置を通る円形状のところにできます。円の中心は天頂方向です。ですから,太陽高度が高いほど曲率半径は小さくなります。下の写真に太陽高度が異なる条件のときの環天頂アークの形状を示します。環天頂アークの形状が変化することを確認できます。
環天頂アークは空の高いところにできるので,見上げないとなかなか気付くことができません。できる条件は幻日と同じなので,幻日が見えたら是非頭の上の方も見て環天頂アークが出ていないか確かめてみるといいと思います。発色が本当にきれいなので,探してみてください。