いろいろな大気光学現象を見てきました。各大気光学現象がどのくらいの頻度で現れるかを調べている人がいます。例えば下記のような文献があります。
参考文献)https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2017/2017_03_0053.pdf
この中で,タンジェントアークは虹より出現頻度が高く,あまり珍しいとは言えないかもしれませんが、ここで紹介させてください。他に上部ラテラルアークや下部ラテラルアークを紹介します。上記文献によれば,ラテラルアークの出現頻度は0.8日/年でかなりレアな現象です。
また,主虹の出現頻度が6.4日/年に対し,環天頂アークが8.1日/年と主虹より頻度が高いのが意外に感じます。虹の場合は,雨と太陽光の条件がそろうと出ますが,条件としてとても分かりやすいので出現を予想して観測ができます。これに対し,環天頂アークなどは出そうな雲というのはありますが,いつ出るかの予測はなかなか難しく,出ていても気付かないことが多いような気がします。
タンジェントアーク
タンジェントアークは内暈の上側または下側に接してできる弓型の光の帯です。「タンジェント」という言葉は高校の数学で三角関数として習いました。タンジェントには「接した」という意味があり,まさに内暈に接したアークです。単に内暈の上の部分が明るく見えるという場合も多いのですが,下の写真(2020年3月7日 9時4分撮影,太陽高度32°)は上部タンジェントアークがはっきり見えています。
つぎの写真(2018年2月3日 12時4分撮影,太陽高度38°)には,内暈・上部タンジェントアーク・幻日が見えています。太陽高度が高めなので幻日は内暈に対して外側に離れたところに見えます。
下の写真(2018年1月7日 12時43分撮影,太陽高度32°)には上部タンジェントアーク見えますが,セットでよく出てくる内暈がありません。タンジェントアークといっても,いろいろな顔を見せてくれます。
上部ラテラルアーク
つぎは上部ラテラルアークです。下の写真(2022年3月21日 16時28分撮影,太陽高度18°)には内暈,内暈の一番上の部分が明るく色付いている上部タンジェントアーク,そしてタンジェントアークから離れたところに虹色の弧を描く上部ラテラルアークがあります。上部ラテラルアークはタンジェントアークに比べて少し薄いです。
この薄い上部ラテラルアークを見つけたのは偶然でした。飛行機雲が好きなので,この日もきれいな飛行機雲が2本出ているなと思いながら空を見上げていました。そのとき,飛行機雲のところに何やら虹色が出ていることに気付きました。太陽を隠して写真と撮らないとうまく写らないので,道路の横にある林に太陽が隠れる位置まで移動し,必死に写真を撮りました。
下部ラテラルアーク
下の写真(2020年3月7日 9時46分撮影,太陽高度39°)に下部ラテラルアークを示します。虹色がきれいに出ているし,目に入りやすい高さにできたので,すぐに気が付いて写真を撮りました。
この下部ラテラルアークを撮影した日は,最初に紹介した上部タンジェントアークが出ていたりして,大気光学現象にはとても条件の良い日でした。下部ラテラルアークが出たときの空全体を見てみると下の写真のようになります。複数枚の写真を撮影し,パノラマ合成しています。内暈があり,その上部と下部は明るくなっています。そして,内暈から離れた横の方に下部ラテラルアークがあることがわかります。
まとめ
これまで,いろいろな大気光学現象を撮影した写真を紹介してきました。よく見かけるものからレアなものまでいろいろありますが,毎回条件が違うので同じように見えてもそれぞれ個性的な姿を見せてくれます。ですから,あきが来ませんし,見られたら何かいいことがあるような気がします。是非,皆さんも空を見上げて虹色を探してみてはいかがでしょうか。