虹色に輝く蜘蛛の巣

あれこれ

蜘蛛の巣が虹色に輝くことを知っている方はいますか? 私は最初に掲載した写真(2022年10月16日撮影)を撮るまで知りませんでした。小さいころから自然の豊かな土地に育ったし,いろいろな山にも登っているのでたくさんの蜘蛛の巣を見てきたはずなのにです。この写真は,本宮山の林道の上に掛かっていたもので,太陽の光に照らされてきれいに輝いていました。私はまた本宮山にひとつ新しいことを教えてもらいました。今回は,そんな虹色に輝く蜘蛛の巣を見ていきましょう。

蜘蛛の巣いろいろ

下の2枚並べた写真に写っている蜘蛛の巣は同じものです。しかし,見る角度を少し変えており,虹色に光る色の加減が変化していることがわかります。左側の写真は巣の左側が緑色に光っているのに対し,右の写真では赤から黄色に光っています。

虹色に光る蜘蛛の巣

下に示す参考文献によれば,「糸に並んだ粒がほぼ等間隔に並び,各粒で太陽光がごく限られた狭い範囲に散乱されることが主要因」といっています。
参考文献)https://tsuyama-nit.repo.nii.ac.jp/record/1771/files/kiyou2019r01.pdf
この論文は2019年(ほんの5年前)に出されており,それまで研究された方がいないというのはビックリです。

別の巣を見てみましょう。また2枚写真を撮りました。今度の巣は前の巣よりも円がしっかりしています。真ん中に蜘蛛がじっとしている様子もわかります。この巣の色を見ると,螺旋状の横糸が緑色にきれいに輝いているところと,縦糸が破線状にオレンジ色に輝いているところがあります。緑の横糸と,オレンジ色の縦糸の方向はほぼ同じ向きに並んでおり,糸がこの方向だと発色しやすいのだと推察されます。横糸は粘球と呼ばれる粘液の球がほぼ等間隔で付着しているのに対し,縦糸は粘球がなく,蜘蛛は縦糸を伝わって歩くから自分は巣に引っ掛からないといわれています。

先ほどの文献の説明では粘球が周期的に並ぶことが虹色になる原因だということですが,粘球のない縦糸が虹色に光るのはどうしてでしょうか? なぞは深まるばかりです。

虹色に光る蜘蛛の巣

下の写真をご覧ください。巣を見る角度を変えたら,巣全体が色付きました。こんなに巣がめっだってしまたら,蜘蛛がかわいそうですね。虫がこの角度から蜘蛛の巣を見たら,絶対に捕まらないでしょう。

虹色に光る蜘蛛の巣

蜘蛛の巣の芸術はいかがでしたか。蜘蛛が嫌いな方もいらっしゃいますが,こんなにきれいな巣なら愛でてみようと思いませんでしたか? 今度蜘蛛の巣を見かけたら,太陽の光が当たった状態でいろいろな角度から見てみることをお勧めします。きっと新たな発見があるでしょう。

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