虹が出ているのを見たとき,主虹(内側の明るい虹)の外側に副虹(主虹の外側にあり,主虹より暗い虹)が出ているのを発見すると,とてもラッキーな気分になります。主虹が出ていても副虹が出ていないことが良くあるからです。今回は主虹と副虹が同時に出たダブルレインボーについて見ていきましょう。
ダブルレインボーの特徴
下の写真(2024年2月18日撮影)は主虹がかなり明るく,それに伴って副虹もはっきり見えています。この写真で副虹の特徴を説明します。
- 色の順番:主虹は内側から紫・青・緑・黄・赤なのに対し,副虹は内側から赤・黄・緑・青・紫となっており,色の順番が主虹と副虹で逆になっています
- 虹の幅:副虹は主虹の約2倍の幅があります。太陽を背にして太陽と自分の目を結んだ線を延長した太陽と反対方向の点(対日点)を中心に主虹は半径約42°,副虹は半径約51°のところに見えます。もう少し詳しくいうと,主虹は紫(約40°)~赤(約42°)の範囲にあり,副虹は赤(約50°)~紫(約54°)の範囲で,虹の幅は主虹が約2°,副虹が約4°あります。
- 虹の明るさ:主虹は副虹に比べて明るいです。主虹は水滴の中で光が1回反射するだけなのに対し,副虹は2回反射します。水滴の中で光が反射するとき,光の一部が水滴の外に逃げてしまうので,反射が起こるたびに光の強さが弱くなります。そのため,反射回数の多い副虹の方が暗くなります。水と空気の界面では反射率100%の全反射というものがありますが,虹を映し出す水滴の中の反射は全反射の条件を満たさないということです。
- 主虹と副虹の間の明るさ:主虹と副虹の間の明るさが暗くなっています。これは「アレキサンダーの暗帯」と呼ばれています。主虹の内側と副虹の外側は水滴によって散乱された光が照らしているのに対し,主虹と副虹の間は水滴で散乱された光が行かないため暗く見えます。
下の写真の場合,主虹の上側と下側で当たる太陽の強さが異なり,主虹の下側の方が明るくなっています。これに伴い,下側の散乱光も強いため主虹の内側も明るくなっています。内側の明るさが散乱光によるものだとわかる例です。
いろいろなダブルレインボー
ダブルレインボーの写真を5枚紹介します。
1枚目(2018年8月15日 5時49分撮影)は夏の朝に出た虹です。大きな虹の一部分だけが写真に撮られています。副虹はかなり薄いですが色の配置はかろうじてわかります。
2枚目(2020年9月13日 17時14分撮影)は夕方に出た虹です。
3枚目(2023年9月12日 5時53分撮影)は朝出た虹をパノラマ撮影しました。主虹の内側が明るくなっているのが良くわかります。
4枚目(2023年9月12日 7時33分撮影)は虹がだいぶ低い位置にあります。主虹に過剰虹が出ているので,副虹を画像処理にかけてみましたが,副虹の過剰虹は確認できませんでした。
最後(2020年12月25日 13時11分撮影)は冬の昼頃に見えたきれいなダブルレインボーです。ちょうど冬至の頃で太陽高度が低いため,昼頃でもこのようなきれいな虹が見えました。
まとめ
何枚かダブルレインボーの写真を紹介しましたが,副虹が薄いものもあり,きれいなダブルレインボーを撮影する機会がなかなかないことを理解いただけたと思います。副虹は主虹の外にできるので,主虹だけを撮影するよりもさらに難易度が上がります。是非,パノラマ撮影を駆使して全体を1枚の写真に収めていただければと思います。