2024年の夏は猛暑が続き,10月になってもなかなか秋めいてきませんでした。しかし,さすがに10月の下旬ともなれば冬型の気圧配置が現れ,やっと秋を感じるようになってきました。そんな季節の変化を感じてか,桜が狂い咲きしているのを見つけました。今回は,この狂い咲きについて考えましょう。
なお,上の写真と下の写真は2024年10月19日に蒲郡市で撮影したものです。数輪ですが,きれいに咲いています。
春の桜と狂い咲きの比較
まずは,春の桜と秋の狂い咲きとを比較します。下の写真は春(2024年3月30日)の桜を撮影したものです。満開はまだですが,たくさんの花が咲ています。また,ソメイヨシノの場合花が咲いた後に葉っぱが出てくるので,この写真には葉っぱが写っていません。
下の二枚は秋(2024年10月19日)に撮影した狂い咲きの写真です。周りの枝を見ていただくと分かりますが,花が咲いているのはピンポイントです。枝には夏に形成された花芽がついていることがわかります。狂い咲きしていない部分はこの花芽が硬いまま冬を迎えます。
また,狂い咲きの花と一緒に葉っぱが出ていたり,下の写真の左部分にあるように,新芽が伸びている様子も観察されます。
秋に満開になる桜で花見をできるか?
狂い咲きは条件がそろえば毎年のように起こっています。下の写真は2021年10月に撮影した狂い咲きです。そこでふと思いました。狂い咲きを突き詰めていけば秋に満開になる桜ができるのではないか? そこで花見をするようにできれば,春だけではなく秋にも楽しめるのではないかということです。
そこで調べてみると,桜はもともと秋に咲く品種があり,そこから厳しい環境に適応するために春に咲く品種が生まれてきたようです。
参考)https://www.nodai.ac.jp/web_journal/adventure/vol5.html
桜の狂い咲きは「先祖帰り」みたいなもので,何かのきっかけで先祖が持っていた特性がふと現れたということみたいです。秋に咲く品種を作るために,無理やり丸まる先祖帰りさせるというのもかなり無理があるように思います。そう考えると,元気に満開になってくれるイメージが付きません。
そこで,原種から秋に咲く品種を作ればよいと思われますが,そのような品種はすでにありました。「冬桜」や「十月桜」です。
参考)冬桜 | 桜図鑑|公益財団法人日本花の会 十月桜 | 桜図鑑|公益財団法人日本花の会
ソメイヨシノのように一斉に咲いてパッと散る感じではなく,花の時期はソメイヨシノより長めのようです。
秋から冬に向かう時期,人々の気持ちも春のときの高揚したものとは違い,しっとりした静かなもののような気がします。そのような気持ちの時期には,いまの秋に咲く品種があっているような気がします。
まとめ
桜の狂い咲きから妄想を含めて考えてみました。いまの時代,もし秋にもソメイヨシノで花見をしたければ,南半球でそれを育てて開花させ,空輸してもよい気がします。そこまでコストをかけてやる人がいないということは,冬に向かう人の気落ちにマッチしていないとかもしれません。