冬になればいつもと同じように雪が降って欲しいものです。2023年から2024年の冬は暖冬傾向で本宮山に降った雪も少なかったです。今度の冬はいつものような冬が来ることを期待して雪の季節に関するいろいろを見てみましょう。
風雪紋（シュカブラ）
雪が積もって強い風が吹くと下の写真にあるような雪の模様が現れることがあります（2023年1月28日撮影，本宮山山頂付近の広場にて）。風によって表面の雪が飛ばされ，雪の硬いところが残った風雪紋（シュカブラ）と呼ばれるものです。削られて残った断面を見ると積雪していたところはきれいな層をなしていることがわかります。下記に示すリンク先では「積雪は、1回に降った雪の量や圧密・変態の進み具合の違いにより、硬さや密度の異なる層が積み重なっている。そのため、積雪は地層のような層構造になる。」と説明されています。
参考）https://www.bosai.go.jp/seppyo/research/o6cq970000000ue4-att/sekisetsu_henka.pdf
風でできる紋様としては，砂漠や砂丘の表面にできる「風紋」があります。風紋の場合は砂の上に波の模様ができますが，砂は流動しており風雪紋の雪の粒の挙動とはだいぶ異なります。
雪の境目
つぎに温度の違いによる雪の積もり方について見てみましょう。山に登ると気温が下がるというのは多くの人が知っていますが，それを可視化されたのが下の写真です（2023年1月28日 7時41分撮影）。JR蒲郡駅の近くに展示されているニッポンチャレンジのヨットのところから遠望峰山を見たところです。この日は冬型の気圧配置で日本海側を中心に雪が降りましたが，蒲郡付近にも雪雲が流れ込んで降雪がありました。山の上の方は気温が低かったので積雪がありましたが，下の方は気温が高く積雪しませんでした。積雪の境目となる高さがきれいにわかります。遠望峰山の標高は439ｍで，ふもととの気温差はせいぜい3℃ほどと思いますが，その気温差でもこのような境目ができることがあります。
さらに地面の温度が積雪に及ぼす影響が可視化されたものを見てみましょう。下の写真は2021年12月27日 7時頃に撮影されたものです。強い冬型の気圧配置でこの日の最低気温は全国14か所で12月の1位を記録しました。蒲郡の最低気温は-1.6℃でした。雪雲が流入して降雪がありましたが，写真に示すように橋の上は真っ白に積もっているのに対し，橋のたもとには積雪がありません。雪が降ったときにニュースで「橋の上や高速道路などの高架橋では凍結の恐れがあるので注意しましょう」と言われますが，この写真がまさしくそれを示しています。積雪のないところは盛土になっていて，道路が冷たい空気で冷やされるのは上の面からだけになります。これに対し，橋の部分では橋の下面にも冷たい空気が触れて，橋の上面と下面から冷やされるので，盛土部分に比べ路面の温度が低くなります。そのため，雪が溶けにくくこの写真に示されるように積雪します。雪が降っているときに自動車の運転をするときは橋や高架橋に特に気を付ける必要があります。
雪雲・その命は短く・・・
冬型の気圧配置になるとこの地方にも雪雲が流れ込みます。下の写真は流れ込んだ雪雲を撮影したものです。16時46分にはたくさんの雪が降っている様子が見られますが，それが10分もすると雲がなくなってしまいました。雲に残っていた雪を降らし切って雲が消えてしまったのです。出がらしのような雪雲が流れてくるので，このような現象も見られます。
雪面にできた動物の痕跡
雪が積もったときの楽しみはふたつあります。ひとつは雪の吸音効果です。積雪は多孔質で柔らかいため吸音効果があります。別の言い方をすれば，音が反射しにくいということです。雪が積もって「夜がしんしんと更ける」というような文学的な表現がありますが，「あたりがひっそりと静まり返る」という意味です。
参考）https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%B7%B1%E6%B7%B1_%28%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%97%E3%82%93%29/
積雪で周囲の音が吸収されて静かな夜となるのです。
ふたつめの楽しみは動物の痕跡である「足跡」です。何物にも荒らされていない雪面もよいですが，そこに動物の足跡が続いているというのもとても良いものです。下の写真は本宮山の山頂近くで見かけた足跡です（2023年1月28日撮影）。
足跡を近くで見ると下のような形となっていました。野兎の足跡です。
まとめ
雪のいろいろを感じていただけましたか？今年はたくさん雪が降って，いろいろなものを観察できるといいなと思っています。また，雪が降ったら外に出ていろいろ見てみるのも楽しいです。冬が来るのが楽しみです。
