「下位しんきろう」のなかで逃げ水に続いて有名なのが浮島だと思います。「言葉は聞いたことがあるけど,実際のものは見たことがない」という方も多いと思います。今回はその「浮島」を紹介します。
最初の写真(2017年11月19日撮影)は西浦半島から見た三河湾の島々です。この日は冬型の気圧配置になり冷気が入り込みました。11月ということで海面水温はまだ高く,下位しんきろうが見られる条件がそろいました。見えている島々の端が丸くなり,UFOのような形をしています。島の下には下位しんきろうにより空が映り込んでいるところがあり,島が船のように浮いているように見えます。これが「浮島」です。
いろいろな浮き方
浮島をもう少し詳しく見ていきます。下の写真(2022年2月6日撮影)に写っている煙突は渥美火力発電所です。撮影場所は少し高いところであり,しんきろうは見えていません。この写真から,発電所およびその周りにはしっかりと地面があることを確認できます。ちなみに,煙突の右側にある山は三島由紀夫さんの小説「潮騒」で有名な神島です。

それでは,渥美火力発電所付近に見られた下位しんきろうについて3パターン見ていきましょう。
下の写真(2022年1月22日撮影)に写っている煙突の根元には地面があります。地面がスケートボードのような形をしていて,地面全体が海の上に浮いているように見えます。

次の写真(2022年2月6日撮影)も煙突の根元に着目しましょう。地面がほとんど見えなくなり,煙突の右側は地面が消えてしまっています。

最後の写真(2021年12月5日撮影)は煙突の一番下の白く塗装されたところが見えなくなり,赤く塗られたところが反転しています。島の浮き上がり方も3枚の写真の中で最も大きくなっています。

以上のように,下位しんきろうの現れるときの条件,すなわち空気の温度分布や見えているものまでの距離,見ている人の視線の高さなどにより見え方は大きく変わることがわかります。
まとめ
下位しんきろうは上位しんきろうに比べ見られる頻度が高いので,しんきろう好きの方でもあまり興味を示さない方もおられます。しかし,今回紹介したように,その時々で見え方が異なり,なにより出会える確率が高いので,しんきろうに親しむには絶好の対象だと思います。海の向こうに何か見えているときには,下位しんきろうが見えないかチェックしてみると楽しいと思います。