これまで,いろいろな飛行機雲のお話をさせていただきました。そのなかに,下の写真に示すように雫が垂れたようなものがあります。
参考)飛行機雲から自然の雲へ | ふわっとサイエンス
これは「Lobular cloud (小葉状雲)」などと呼ばれています。歴史的にはいろいろ表現がされてきました。日本語では定まった表現がないので,ここではこれを「小葉状雲」と呼ぶことにします。この形成には翼端渦が関係しています。

ブルーインパルスが飛行したときにも「小葉状雲」ができることがあります。いつも見えるわけではなく,旋回するときによく見られます。旋回時には揚力に加え遠心力に対する力も翼で発生させているため,翼の下面と上面の圧力差が大きくなります。その結果,より強い翼端渦が生まれると考えられます。戦闘機の翼端渦による雲が線状に現れるのも決まって旋回時です。
下の写真はブルーインパルスが旋回したときのスモークを撮影したものです。左の写真から少し時間が経ったときのものが右の写真です。飛行機の位置が少し変化していることから時間の経過がわかります。スモークの状態から翼端渦による渦管があることがわかります。この渦管は時間が経つとクネクネし,その後塊になって分断される様子が見られます。

ブルーインパルスの作った小葉状雲
上の写真(右側)から10秒後が下の写真です。塊になって垂れているように見える雲(小葉状雲)にU字型の渦管や渦管が輪のようになっている渦輪があることがわかります。

さらに4秒後が下の写真です。まだU字型渦管や渦輪があります。

勢いの強い渦輪はスモークの塊から飛び出し,きれいな白い輪を描いています。

渦輪
下の写真は渦輪をアップしたものです。科学の実験で空気砲というのがあります。空気砲では直方体の段ボール箱の1面に丸い穴をあけ中に煙を入れておき,箱の側面をたたくと空気が飛び出して渦輪が発射されるというものです。ブルーインパルスが空気砲から出たようなきれいな渦輪ができました。
この渦輪は,ブルーインパルスの翼端渦(左右の翼それぞれから作り出された2本の渦管)が作り出したものです。直線状だった2本の並んだ渦管から,こんなきれいな渦輪ができるのは不思議でなりません。

まとめ
ブルーインパルスが旋回したときに作り出した小葉状雲について見てきました。スモークのおかげで渦の様子をきれいに見ることができました。旅客機の作る小葉状雲は遠くにあり,渦の様子もよくわかりませんが,ブルーインパルスは近くで観察でき,可視化用のスモークを出してくれるのでとても良い観察対象です。皆さんも飛行機ばかりでなく,その後方に取り残されたスモークたちを観察し,たくさんの渦を見つけてみたら面白いと思います。