ブルーインパルスのさくらとハートに見る渦管の影響

あれこれ

飛行機の旋回時に強い翼端渦が発生し,小葉状雲ができやすいというお話をしました。ということは,旋回しながら作ったブルーインパルスのスモークは,きれいな線を長くは保てないということです。どうしても小葉状雲が発生しギザギザになってしまいます。

ブルーインパルスの演目で複数の円で描く「さくら」があります。「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」(林芙美子)という言葉がありますが,ブルーインパルスの「さくら」の命も短くてということを見ていきましょう。

さくら

2025年3月1日の小牧基地航空祭の予行では青空をバックにきれいな「さくら」を描いてくれました。6機の飛行機が円のほぼ同じ角度から描画を開始しました。描いていく様子を下の写真に示します。

ブルーインパルス「さくら」の描き始め

上の写真の6秒後が下の写真です。

ブルーインパルス「さくら」の描き途中

さらに6秒後です。

ブルーインパルス「さくら」の描き途中

さらに6秒後です。スモークに雫の形をした小葉状雲ができ始めました。小葉状雲は円の外側に向かって広がっています。

ブルーインパルス「さくら」の描き途中

さらに4秒後です。円の線がつながりました。線はつながりましたが,すっとした線とはなっておらず,小葉状雲により縁がギザギザの花になっています。

ブルーインパルス「さくら」の完成

さらに38秒後です。この日は風が弱かったので,きれいな円を保ったままスモークが広がっています。よく見るとところどころ渦輪があることもわかります。

ブルーインパルス「さくら」のスモークが広がったところ

ハート

「さくら」のスモークがうっすらと残っているところにハートが描かれ始めました。

ブルーインパルス「ハート」の描き始め

上の写真の6秒後が下の写真です。

ブルーインパルス「ハート」の描き途中

さらに6秒後です。描き始めのあたりに小葉状雲が現れました。小葉状雲のところにU字型渦管や渦輪があることがあわかります。

ブルーインパルス「ハート」の描き途中

さらに6秒後,ハートがつながりました。曲線のところには小葉状雲が発達しているのに対し,直線部分には小葉状雲ができていないことがわかります。ここからも,旋回しながら描いたところでは小葉状雲ができやすいことがみてとれます。

ブルーインパルス「ハート」の完成

まとめ

ブルーインパルスの描いた「さくら」と「ハート」を見ました。背景が青空でスモークがとても見やすく,風が弱い日でスモークがそこにとどまりやすいという好条件に恵まれ,スモークの挙動のわかりやすい写真が撮影できました。また,写真撮影のとき太陽が入らない絶妙な位置で描画がされました。撮影ポイントにも恵まれたと思います。

今回のような視点でスモークを解説した記事をこれまで私は見たことがありません。是非,ブルーインパルスを鑑賞するときのポイントとして認識いただけると幸いです。

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