豊橋の湖西連邦から石巻山に登ってきました(2025年4月29日)。以前紹介しましたが,石巻山には石灰石の鉱山があって山のあちこちで石灰岩を見ることができます。今回はその風景を紹介します。
参考)三河の石灰石鉱山 | ふわっとサイエンス
最初の写真と下の写真は石巻山の中腹にある「このしろ池」のところを撮影したものです。大きな石灰岩が緑色岩の上で露出しています。緑色岩は「海の底(海洋地殻)やハワイのような海洋島(海の真ん中に噴火でできる島)をつくる玄武岩が熱水によって変成した緑っぽい岩石」で,石灰岩・緑色岩ともに付加体でよくみられるものです。
参考)緑⾊岩(変成岩)|石ころ妄想図鑑|長野県デジタル地質図を活用した地学教材開発事業
石巻山のあたりは秩父帯と呼ばれる付加体の一部で,石灰石の鉱脈が存在します。

石巻山山頂の風景
石巻山山頂にも露出した石灰岩が見られます。

山頂から北側を見ると石灰石鉱山「中採長楽鉱山」が見えます。鉱山を上から見下ろしているので全体の様子がわかります。

渥美半島の方を見ると田原の蔵王山が見えます。蔵王山近くにも石灰石の鉱山があり,秩父帯は石巻山から蔵王山へと続いています。

中腹にあるもの
中腹には石灰岩が風化・水蝕で削られてできた「蛇穴」があります。径約60cm・奥行13mほどですが,人が入るのはなかなか厳しそうです。

石巻山城跡もあります。石碑の近くに石垣や石段がありましたが,さすが石灰石で作られていました。


災害の爪痕
林道を歩けば,崩落跡を見ることができます。幅20mくらいでかなりの高さを土砂が流れ下った様子が見られます。土砂が流れ下った先は林で,民家は見当たりません。土砂が流れ下るとこんな風になるのだということがよくわかる現場です。


まとめ
地質のことを理解するとき,入門としては石灰岩がとてもわかりやすく,身近でよい教材だと感じます。石灰岩でできた山があったり,鍾乳洞で有名な観光地もあったりします。石灰岩を見たときは「付加体」を思い出していただき,太平洋を旅してきたモノたちの物語を感じていただければと思います。