空飛ぶものたち

ドリームリフター あれこれ

私の住んでいるところの上空には飛行機の航路があり,雲を観察しているといろいろな飛行機が飛んでいることに気付きます。東京と大阪・九州・沖縄方面を結んだり,アメリカと東南アジアを結ぶものが飛んでいます。また,中部空港へ着陸する飛行機は結構低い高度を飛んでいて,最初の写真に示した「ドリームリフター」を見ることもあります(2024年3月14日撮影)。今回は,空飛ぶものたちについて考えましょう。

飛行船

まずは映画「魔女の宅急便」でお馴染みの飛行船です。最近は飛行船を見る機会がなかなかありませんが,2022年にビールの宣伝のため日本中を飛び回った際に撮影することができました(2022年5月15日撮影)。
参考)日本全国を巡る“新スーパードライ”のプロモーションを展開|ニュースリリース|アサヒビール

空気より密度の小さいヘリウムが胴体の中に入っていて,その浮力で空を飛ぶというものです。しかし,少し考えてみると,地上から浮かび上がり,ある高さにとどまり,地上に戻るという一連の動作をすることは意外と難しいことだとわかります。試しにヘリウム入りの風船を考えてみてください。以前,お祭りでヘリウムの入ったバナナ型の風船を買ってきました。それには厚紙のおもりが付いていて,空に飛んでいかないようになっていました。これを空中に浮かべようと思い,おもりの重さを調節しました。もちろん,風の影響を極力なくすように,また空に飛んでいかないように部屋の中で行いました。

飛行船,スーパードライ号

少しでもおもりが重いと浮かんでくれません。軽すぎれば部屋の天井まで行ってしまいます。一生懸命に微調整して空中にとどまっているようにしても,わずかな気流の流れ(部屋の中の上昇気流,下降気流)や温度による空気やヘリウムの密度変化で同じ高さでとどまっていることはできませんでした。気球の場合は飛行高度による空気密度の変化も影響します。

ですから,飛行船はヘリウムで定常的な浮力を発生させつつ,調整可能な上に浮かぶ力を足し合わせて飛行をしています。

鳥と飛行機

空を飛ぶといえば鳥と飛行機が思い起こされます。カモメと飛行機の飛んでいる様子を,前から見たところと下から見たとこを比較してみましょう。

前から見ると鳥も飛行機も胴体にペラペラの翼が付いています。

飛んでいるカモメ
飛行機を前から見たところ

下から見ると,胴体に翼(主翼)と尾翼があることがわかります。

飛んでいるカモメを下から見たところ
飛んでいる飛行機を下から見たところ

鳥と飛行機の大きな違いは垂直尾翼の有無です。垂直尾翼のよく見える角度から撮影した機体を下に示します。垂直尾翼には縦方向に筋があり,そこを境にフィン(安定板)とラダー(方向舵)に分かれます。ラダーはフィンを付け根にして左右に傾くようになっており,垂直尾翼全体としての形状が変化します。ラダーが右に傾けば左の方向に,左に傾けば右の方向に力が働きます。これにより,飛行機の垂直方向に引いた中心軸の周りの運動(ヨー運動)を調整します。

飛んでいる飛行機を上から見たところ

鳥の飛んでいる様子を見ると尾翼の形を複雑に動かしたりして,からだ全体で飛んでいる状態をコントロールしています。飛行機に比べ身体能力が高いの尾翼がなくても鳥は飛べます。

パラグライダー

蒲郡の五井山にはパラグライダーのテイクオフ台があり,優雅に飛んでいる姿を見ることができます(2024年5月3日撮影)。パラグライダーには水平尾翼も垂直尾翼もありません。人が翼の下にぶら下がる構造として飛行の安定性を確保しています。そういえばハンググライダーも人がぶら下がっていました。人がぶら下がって翼に対し重心を低くすると飛行が安定して水平尾翼・垂直尾翼がなくてもよいようです。

飛んでいるパラグライダー
飛んでいるパラグライダー

まとめ

いろいろな空飛ぶものたちを見てきました。飛行船には主翼がなく,鳥には垂直尾翼がなく,パラグライダーには水平尾翼・垂直尾翼がありませんでした。同じ空を飛ぶものでも,構造や形はいろいろです。この理由をもっと知りたくなりました。

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