2025年と2022年の月食の比較

皆既月食の明るさ比較 あれこれ

2025年9月8日の月食と2022年11月8日の月食について,その様子を比べてみましょう。皆既月食が地球の影に入ったとき赤銅食に見えるのは,地球の大気を太陽光が通り抜けるとき青い光が散乱されて赤っぽい光が残るとともに,光が曲げられて影の方に回り込むためです。このため,大気の状態(チリなどの光を散乱するものが少ない/多いなど)により,月に届く光の量が変化して明るく見えたり暗く見えたりします。

皆既月食の明るさ

上の写真は,食が最大になったタイミングで撮影した写真を並べたものです。写真の撮影条件(カメラの種類,絞り,露出時間,焦点距離)は同じです。は2025年の月のがずいぶん暗く見えることがわかります。

食の最大のタイミングでは月が地球の影の中心付近か周辺にあるかの影響も考えられるので,皆既食の始まりのタイミングでも比較してみましょう(下の写真)。月が白く見えるところが地球の影のいちばん外周にあたる部分です。そこから地球の影の中心側を見てみると,やはり2025年の方が暗いことが確認できます。この月の明るさは「ダンジョンスケール」で定量化する考え方があります。
参考)皆既月食中の月の色について-12月10日夜、皆既月食を観察しよう
国立天文台の記事によれば,2025年の月食のダンジョンスケールは「2「赤もしくは赤茶けた暗い食」(5段階中の中央)か、それよりも少し暗かったのかもしれません」とのことです。
参考)国立天文台が撮影した2025年9月8日未明の皆既月食 | 国立天文台(NAOJ)

皆既食の始まりでの月の明るさ比較

月の大きさ

撮影した月の写真を並べてみたら,2025年の月の方が2022年のモノより大きいことに気付きました。そこで,地球と月の中心間距離と月の視半径を下記サイトで計算しました。
参考)月の地心座標 – 国立天文台暦計算室

今回の月食では前回(2022年)のときに比べ,月と地球の中心間距離が約7%近く,月が大きく見えていることを確認しました。

月の大きさ比較

まとめ

その時の現象を観察するだけでなく,以前の観測結果と比較することでいろいろ考察することができました。これからも視点を変えて考えてみたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました