「カラスは何色ですか?」と聞かれれば,多くの方は迷わず「黒」と答えると思います。以前,下記ブログで紹介した三河湾のカラスは下の写真のようにつやつやした黒でした。
三河湾の鳥たち(3月) | ふわっとサイエンス

私も何十年も生きてきましたが,「カラス=黒」を疑うことはありませんでした。
青いカラス
ある日,林の中の道を歩いていると下の写真に示す鳥に出会いました(2025年10月5日撮影)。姿形はどう見てもカラスです。しかし,黒ではなく「青」に見えます。

目の錯覚だといけないので,画像のRGB(赤・緑・青)の強度分布を解析ソフトImageJで測定しました。確かに全体的に青色が強く出ています。

調べてみると,カラスにも「構造色」というのがあって,光の当たり方で青色に見えることがあることがわかりました。「構造色」というのは,それ自体に色が付いているわけではなく,光が干渉して色が付いて見えるものです。
「カラスは黒」という固定観念で支配されてきたために,以上のことにこれまで気付きませんでした。「見えていたのに見えていなかった」ということでほんとうにもったいないことをしてきました。
他の鳥の構造色との比較
鳥の羽根には構造色を呈するものがいろいろあります。ハト,ハシビロガモ,キンクロハジロ,スズガモの写真を示します。これらは首のあたりや顔周辺に構造色が見えています。これに対し,カラスは全身が黒一色なので,全身で構造色の青が呈されています。元の色が黒で地味ですが,構造色を呈したとき全身で表現されるので,これはある意味すごい特徴だと私は思います。




まとめ
カラスは元の色が黒くそれが全身に及ぶので,皆さんには「カラス=黒色」という考え方が強く浸透しています。しかし,構造色で青っぽく見えることがわかりました。「黒色」という固定観念に縛られていたら,この事実に気付くことがなかったかもしれません。常に柔軟に物事を見ることは大事なことであると今回の件で痛感しました。