水が溜まったところに氷が張り,とてもきれいな模様を作り出していました(2025年12月29日撮影)。枯山水の庭に線が引かれているように,白い氷のキャンバスに何本もの線が並んでいます。今回はその氷のアートについて紹介します。


模様ができた理由は?
模様を詳しく調べるために,一部を割って取り出しました。

氷の断面を見ると,表面側は平たんなのに対し裏面側は模様の線になっているところに段差があります。この段差の部分が線として見えていたのです。

段差のできたメカニズムを推定しました。今回,氷を割って水たまりをのぞいたところ,氷の下は空洞でした。そのため,氷が張ったあとに水が抜けていく過程で以下のように氷が形成されたと考えました。
- 氷が張る前に低気圧が通過して雨が降り,水面が上昇
- そのあと,冬型の気圧配置となり冷え込んで水の表面が凍結
- 貯まった水は土に浸透していき水面が徐々に低下
そのため,氷と水の間に空気の層ができる。ただし,氷と水が全面にわたって離れてしまうわけではなく,表面張力によって氷と水の接触が保持される面もある - 夜間,再び冷え込むと氷に接した水の部分の氷結が進行し氷が厚くなる。このとき,氷と水の間に空気が存在する部分では,氷が冷気を遮断したり,空気層が断熱層となるので水は凍らない
- 上記3~4が繰り返されて複数の段差を形成

また,白く見えるのは氷の中に小さな気泡が入っているためです。下の写真は気温が0℃以上になって氷が少しずつ解けている様子を示します。左の写真(10時59分撮影)では,氷の裏面に水滴がぽつぽつ付いていますが氷は白い状態です。これに対し,1時間43分後の右の写真では,気泡を含んだ白い層がだいぶ溶けて氷の透明度が上がっていることがわかります。

氷の中の気泡
それでは,氷の中の気泡について詳しく見てみましょう。下の写真の赤四角の部分を拡大したのがその下の写真です。

丸い気泡のほかに縦に線状になった気泡があります。凍結は表面から裏面の方向(上から下)に向かって進みますが,なぜ気泡はこのような線状になるのでしょうか?

水には空気が溶けています。これが氷になるとき,氷の方が空気の溶ける量が少ないので気泡として出てきます。しかし,何もないところで気泡が出てくることは大変なので,不純物や夾雑物を核にしてそこから気泡が発生します(下記参考文献を参照)。核となる粒子は氷に取り込まれることなく,水と氷の界面(凍結面)とともに移動します。このため,気泡が線状になります。
まとめ
枯山水の庭園のような氷のアートを見つけました。氷には氷紋と呼ばれるようなアートもあるようです。冬の間,いろいろな氷のアートを見つけたいと思います。
