三河湾で春の蜃気楼が見られますがほとんど知られていません。皆さんに知ってほしいので,今シーズンは見られたときに「観察日記」と題して紹介します。
当日の様子
2026年2月14日に観測されました。2026年は1月19日にも見えているので本年2回目です。蜃気楼は13時30分過ぎから見られましたが,その前の12時50分頃の様子を下の写真に示します。蒲郡の西浦から三河湾をはさんで対岸の蔵王山を見ています。全体的にかすんでいますが,海面に近い所は白が濃くなっています。このあたりに空気(おそらく海面で冷やされた冷たい空気)の層がありそうです。この冷たい空気の層が薄くなってその上にある暖かい空気との境が海面近くに降りてくると蜃気楼が現れます。

観測された蜃気楼
西浦の海岸から撮影した蜃気楼を紹介します。また,蜃気楼の写真については白い霞の影響を取り除くために画像処理で色彩補正してあります。
下の写真に写っている赤白の煙突は景色の伸縮の判断に大変役立ちます。蜃気楼なしのときに撮影した写真と比べると,今回は煙突の下部が伸びていることがわかります。煙突の周りにある建物も伸びています。

ラグーナ蒲郡の観覧車を見てみましょう。観覧車の上半分に対し下半分が上下に伸びて楕円になっています。

下の写真に写っている山は田原の「笠山」(観測点からの距離11km)です。その手前,海と陸の境目に防波堤がありますが,その上に白い棒状のものがたくさん伸びています。これは蜃気楼で伸びたものです。

下の写真は防波堤の上の白いものが伸びていない状態を写したものです。おそらく照明装置と考えられます。この写真と上の写真を比較すると伸びているのがよくわかります。

さらに,防波堤の上の白いものが伸びているところと防波堤が伸びているところがある写真を示します。空気の温度分布の微妙な変化でどこが伸びるのか変わります。

温度の変化
この日の温度についても見てみましょう。三河湾には気象観測ブイ(1号っブイ)があるのでそこで観測した気温と水温,そしてアメダス豊橋の気温を示します。蜃気楼が見えたのは13時30分~14時頃でした。この時間帯を境に1号ブイの気温が上昇していることがわかります。海水面付近の空気が冷たいものから暖かいものに入れ替わり始めたことがわかります。入れ替わるときに冷たい空気と暖かい空気の境目(ここは温度勾配が大きいところ)が海面近くにくるので,その空気をとおして対岸を見ることになり蜃気楼が出現したと考えられます。

まとめ
毎日の天候を見ていると,「この日は蜃気楼が出そうだな」というのはわかります。しかし,データでみられる確率を示すことはできていません。また,どのようなメカニズムで蜃気楼が出るのかも理解できていません。公的な気象観測データをもとにできることはしていきたいと思います。また,一人でも多くの方に蜃気楼に興味を持っていただき出現情報をもっと集められるようになりたいと思います。
