「株虹」という言葉をご存じでしょうか? ネットで検索してみると以下のようにあります。
「虹が雲と水平線の間だけに見えているような場合を株虹と呼ぶそうです」
参考)Y.AYA’s Garden – 天空博物館 – 過剰虹、反射虹、他 (asahi-net.or.jp)
伝聞表記なので正確なことはわかりませんが,他の本をみてもそんな感じで使われています。学術用語ではなく,一般名詞みたいなものだと思われます。
虹の根元だけが見えており,それが雲に突き刺さっているように見えるので,「それを登って行けば雲の高さまで行けるのではないか?」と錯覚させてくれるような虹です。円弧を描いて全体が見える虹もよいですが,天と地とを結ぶ株虹もとても魅力的に感じます。今回はそんな株虹を見ていきましょう。
いろいろな株虹
下の写真(2021年5月1日 18時19分撮影)は夕方に見られた株虹で,空全体が黄色になっています。株虹の見られる条件は以下のようになります。(私がパパっと考えたものを記載しているので,コメントあれば教えてください)
- 自分の周りに雨粒がないこと,雨粒があったとしてもそこに太陽光が当たっていないこと
⇒自分の近くで虹ができていれば虹の上の方まで見えてしまいます - 自分から比較的離れたところで雨が降っていて,太陽と自分と雨の降っている場所の関係が虹の出る位置の関係を満たすこと(対日点を中心に半径約42°付近で雨が降っていること)
- 雨の降っているところに太陽光が当たること
自分から比較的離れたところにある雲から雨が降っていて,雨のスクリーンができていており,そこに太陽光が当たるイメージです。スクリーンは雲と地面(水面)の間にしかありませんので,虹の根元だけが見えることになります。
つぎの写真(2019年9月8日 17時55分撮影)も夕方に撮影したものです。虹がきれいに雲へ突き刺さった感じが出ています。
こんどは山の上から空に伸びた虹です(2023年9月12日 5時44分撮影)。このときの日の出時刻は5時30分頃なので,太陽高度が低くて比較的まっすぐに天に向かって虹が伸びています。
ダブルレインボーの株虹
つぎはダブルレインボーの株虹です(2021年11月11日 16時32分撮影)。夕方,一部の雲から降水があったようです。虹の上の雲の周りは青空で,その雲だけが降水しています。虹の下の方は背景が夕焼け空で虹の状況がわかりにくいですが,もしかしたら降っていた雨が地上に至る前に蒸発し,途中で消えていたかもしれません。
青空に株虹
最後に,青空のもと見えた株虹です。1枚目(2023年8月8日 5時49分撮影)は手前に青空が広がり,向こうの方に雲があります。そこに降水があり,虹が見えています。
2枚目は2022年9月2日 17時9分撮影です。株虹というには少し長めの虹かもしれません。これも手前に青空が見えています。
まとめ
いろいろな株虹を見てきました。「あの虹を登って行ったら,雲の上に行けるのでないか?」と子供が質問しそうな虹でした。虹の見える原理から,これらの虹の麓へ行くことさえかないませんが,虹を見かけたら,いろいろ妄想するのもよいかもしれません。是非,虹を見て楽しい時間をお過ごしください。