なぜそこに虹?

あれこれ

いろいろな虹を見ていると,ときとして不思議な虹に巡り合います。今回はそんな虹について見てみましょう。

空の上だけにある虹

まずは青空に現れた虹です(2020年8月23日 16時37分撮影)。この日の天気図を見ると,紀伊半島沖に弱い低気圧,日本海に高気圧があり,湿った空気が流れ込んでいました。ひまわりの画像を見ると,16時頃には,湿った空気の影響でこの写真に写っている三河大島から三河山間部にかけて積乱雲が発達しており,虹の現れた時刻には,その積乱雲が三河大島付近から離れて青空が現れたタイミングでした。雨雲が遠ざかりつつあるところで雨粒が上空をまだ漂っており,そこに太陽光が当たり虹が現れたものと思われます。雨を降らせる雲がないのに虹が見えるというのは不思議な感じがします。

青空に現れた虹

つぎは曇り空ですが,空の上の方にだけ虹が現れたものです(2022年9月5日 17時26分撮影)。この時間の気象レーダを見ると2mm/h以下の雨雲がこの地域に観測されています。しかし,アメダスでは降水が観測されていないので,もしかすると上空で雨が蒸発し,途中で雨粒がなくなったため虹が途中で切れているのかもしれません。(太陽光がそこにしか当たっていない可能性もありますが・・・)

空中に出た虹

地上付近だけにある虹

下の写真は2020年12月31日に撮影したものです。大みそかですね。天気図をみると,この日は強い冬型で名古屋にも雪が降っていました。その雪雲が当地方にも流れ込み,写真にあるように雪の降っているところは真っ白に見えています。その雪の降っているところをよく見ると虹が現れていました。このときのアメダス(蒲郡)の気温は2.4℃で,雪になるかみぞれになるかの境目あたりでした。雪が降っている白いカーテンのようなところをよく見ると,海上に近いところは白さがなくなっており,地上に到達する寸前は雨になっているように見えます。雪で落ちてきたものが途中で溶けて雨粒を含み,それで虹が見えていると考えられます。そのため,地上に近いほど水滴が増えて虹が濃くなっています。

雪の日,地上付近に出た極めて短い虹

下の写真は2023年10月31日に撮影したものです。これも,地上すれすれのところにだけ虹が出ていました。虹の右側にビルが見えるのですが,その高さより低いところに出ています。この虹の上を見てみると,積乱雲が発達していることがわかります。積乱雲の下に雨が降っているところ(雨柱)があり,虹はそこに出ています。写真からわかるように積乱雲の周りは晴れており,海面と雲底の間には雲のない部分があるので,その間から太陽光が差しこんだと思われます。差し込んだ太陽光がかろうじて雨柱に到達し,虹ができたものと推定されます。

雨の日,地上付近に現れた極めて短い虹

まとめ

なんでそんなところに虹がるのか不思議に思い,いろいろ考えてみました。特に地上付近だけに現れた極短の虹についてはかなりの間不思議に思っていたのですが,今回見返してみて,自分なりに整理することができました。虹に関するいろいろな本を読みましたが,今回紹介した地上付近にある極短虹は見たことがないので,結構珍しいものと考えます。こういうものもあると知っていただけらた幸いです。

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