気象予報士試験の勉強をしていると,雪の結晶は温度や湿度でその形状が変化するというのが出てきます。雪の結晶はサイズ的に目のいい方なら裸眼で,私のような普通の人でも虫眼鏡程度の低倍率のもので拡大するだけでその形がわかるので,簡単に観察することができます。
雪の結晶
今回は,カメラの接写機能を使って撮影した写真を紹介します(2021年12月27日撮影)。中心から腕が6本伸びた結晶が比較的多く見られます。また,結晶がいつくか絡み合ってひとつの雪の粒を形成しているものも見られます。これらの雪粒はどこに積もっていたものかというと橋の鉄製欄干の上です。写真撮影に当たり,積もっている場所の色や柄は雪粒の見やすさに影響します。今回は青い欄干の上を狙いました。また,着地した雪粒が溶けずにその状態を保ってほしいので,着地しているところの温度が低かったり,木のように多孔質で断熱性のあるものが良いです。鉄の欄干は空気で十分冷やされているので,写真でわかるように雪粒が溶けずにきれいに残っています。
つぎは自動車のガラスに成長した氷の結晶です(2023年1月28日撮影)。木の枝のような形をした樹枝状の結晶が伸びています。英語でいうと「デンドライト」です。リチウムイオン電池の記事を読んでいるとデンドライトが多く出てきます。リチウムが電池の中で樹枝状のとげとげした結晶として析出すると,そこがショートして火災になるというような記事ですね。
この写真にはほかにもいろいろ面白い現象が写っています。ひとつは,樹枝状の結晶の周りのガラス表面には水滴が付いていませんが,その少し上のところには水滴が付いているということです。水滴が付いているところは過冷却された水で凍っていません。氷と水が近くで共存しています。ふたつめは,樹枝状結晶の周りは,氷の成長のために周りの水分をかき集められたため(空気中の水の濃度勾配があって氷に向かって水分子が移動した)ガラス表面に水分が付いていないということです。
さらに,樹枝状結晶の下の方には霜が付いていますが,ここは細かい霜の粒が付いています。大きな樹枝状には発達していません。同じようなことろで氷が出来ているのですが,わずかな条件の違いで氷の様子がこのように違うというのは不思議です。
氷の造形
自動車の屋根の上を見てみましょう(2023年1月28日撮影)。ここには大きな氷の結晶ができ,きれいな模様を示していました。
撮影した写真をもう少しわかりやすくなるように色調補正したのが下の写真です。氷の結晶が面方向に発達し,なかなか芸術的な様相を示していることがわかっていただけると思います。
まとめ
雪や氷の結晶を紹介しました。私が大学の授業で習った言葉の中で「樹枝状晶」とか「デンドライト」というのは最も印象に残ったものたちです。とてもきれいな響きなので,是非皆さんにも覚えていただけると嬉しいです。