宙に浮く防波堤

なんでも実験

最初に示す写真は三河湾で蜃気楼を探しているとき,偶然防波堤を撮影したものです(2025年1月19日撮影)。この写真をパッと見て違和感を感じませんか? 防波堤が宙に浮いているように見えます。風が比較的弱いため海面が鏡面のようになり,空の色が映り込んでいます。また,空は青空ではなく全体的に白くかすんでいます。ですから,空と海が同じように見え,それらが防波堤を囲んでいるので空に浮いているように感じます。今回は,そのような目の錯覚について見てみましょう。

防波堤を浮かしてみる

下の写真は最初に示した浮いている防波堤と同じものを撮影したものです。これは,なんということもない普通のつまらない写真となっています。何が違うのでしょうか?
まずは,海が少し波立っていて水面があるのがわかってしまい,波のない空とは違うということを感じさせます。

防波堤

そこで,画像処理を行い,海の波紋を消してみました。写っている2羽の鳥も居なくなりました。だいぶ浮いている感が出ました。もう一息な感じがしましたので,明るさを調整します。

海の波紋を消した写真

海の波紋消去+明るさ調整した結果が下の写真です。だいぶ浮いてる感が出てきた感じがします。写真を加工するといろいろできてしまいますが,加工なしで不思議な写真が撮れるというのはなかなかないことです。不思議な写真が撮れると嬉しくなります。

海の波紋を消して明るし画像処理した写真

空飛ぶ船

以前,ブログで空飛ぶ船を紹介しました。
参考)空飛ぶ船 | ふわっとサイエンス
この光景を最初に見つけたときはだいぶ興奮しました。これは自然のいたずらで,人間が勝手に船が空を飛んでいると解釈しているだけでした。種を知りたい方は以前のブログを参照いただければと思います。

空飛ぶ船の写真

雲の色

雲の色についても人間の感じ方が大きく影響しています。下の図に雲の形が5つ横一列に並んでいます。雲は右側に行くにしたがって色が濃くなっているように感じませんか?
それでは,背景のグラデーションをなくして雲だけにしてみてみましょう。雲の色はいかがですか? 5つの雲は同じ色に見えます。
じつは,グラデーションありとなしで,背景が違うだけで雲は変えていません。雲の色の濃さは全部同じですが,背景の影響を受けて色の感じ方が変化します。

雲の色

実際の空でも同じことは起こっており,同じ雲でも背景によって白く見えたり,灰色に見えたりします。以前,飛行機雲を例に紹介しましたので,よろしければ参照ください。
いろいろな飛行機雲 | ふわっとサイエンス

飛び出ているのか引っ込んでいるのか?

目の錯覚といえば,立体的なものの見え方が人の感じ方によっていかようにも変わるということがあります。乳房雲を撮影した写真で,雲が飛び出て見えたり,引っ込んで見えたりするというお話をさせていただきました。
不思議な乳房雲の写真 飛び出ているのか引っ込んでいるのか? | ふわっとサイエンス
試しに,最近はやりのチャットGPTにこの画像を読み込ませ,出っ張って見えるか引っ込んで見えるか聞いてみました。その結果は以下の通りでした。

「この写真に写っている雲の形状は、「乳房雲(ちぶさぐも、Mammatus clouds)」のように見えます。乳房雲は、通常の積雲や乱層雲の底面にできる膨らみで、下向きに垂れ下がる特徴を持っています。そのため、この雲は「出っ張っている」というよりは、「引っ込んでいる(凹んでいる)」ように見える可能性が高いです。ただし、光の当たり方や見る人の認識によって錯覚が起こることもあります。あなたの目にはどう見えますか?」(ChatGPTの回答,2025年2月2日)

乳房雲というのを指示に入れませんでしたが,「乳房雲」と判断しました。また,出っ張って見えるか引っ込んで見えるかについては,逆質問で返されてしまいました。人間が使うテクニックであり,なかなか賢いです。

乳房雲,飛び出ているのか引っ込んでいるのか?

まとめ

防波堤が宙に浮いているように見える写真で,なぜ浮いて見えるのか,画像処理をしながら考えてみました。また,これまでブログで書いた記事をもとに,目の錯覚について紹介しました。最近では,ChatGPTなどのAIでも画像を取り込んで解釈したりできるので,それも試してみました。なお,空飛ぶ船もChatGPTに読み込ませ,「この船は空を飛んでいますか?」と聞いてみましたが,答えは蜃気楼が原因のような答えでした。自信満々であたかも正しいように間違った答えを返してくるので気を付けなければなりません。見えているものは何なのか? 自分の頭でこれからも考えていきたいと思います。

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