飛行機雲を見ていたら,最初に示した写真のようにまだら模様があることに気が付きました。大気の状態が絶妙で,雲ができるときに濃さの揺らぎが生じているものと推測されます。そのときふと考えました。このまだら模様を利用すれば,飛行機雲のでき方を解析できるのではないか? 具体的には,エンジンから出てすぐのところはエンジンの噴流により流速が速いはずなので,噴流の影響があればまだら模様の動きからわかるのではないかというものです。
今回はその解析結果を紹介します。
飛行機雲に対する疑問
エンジンから飛行機の後方に空気を勢いよく噴出しています。噴出された空気は減速していくのですが,それはどの程度後方まで影響しているのでしょうか? 文献を調べるとエンジン排気の変化過程が以下の3つに分けられています。
参考)https://angeo.copernicus.org/articles/15/1468/1997/index.html
エンジンから出た直後は「Jet regime(噴流支配期)」でエンジンを出てから約0~1秒です。いまはここに着目しています。その後,エンジン排気は翼端渦に引き寄せられ進行方向が曲げられます。エンジン排気でできた2本の飛行機雲の間隔が徐々に開いていきます。やがてエンジン排気の流れは翼端渦の内部または近傍に取り込まれ,流れが歪んだり混合されたりします。

実際の飛行機雲で確かめてみた
まだら模様の飛行機雲を形成した航空機をフライトレーダ24で特定しました(観測日時:2026年2月4日 16時15分頃 場所:蒲郡)。機種はエアバスA320で詳細を以下に示します。

動いている飛行機を追尾しながら動画を撮影し,それを以下の手順で処理しました。
- 動画から0.4秒間隔でフレームを抽出
抽出にはpythonを使用 - 飛行機および飛行機雲の部分をトリミング
- 下図のように横方向の飛行機位置を合わせ,縦方向に等間隔で各時間の飛行機雲を配置
赤破線は同じまだら模様のところをつなげたものです。時間に対し位置が線形に変化していることがわかります。流速の速い噴流の影響を受けていれば飛行機に近い側で曲線になるはずですが,そのような現象は確認されませんでした。
飛行機の対地速度がわかっているので,風の影響はないものと仮定して図に示した2秒間で進んだ距離(397m)を求めました。これを基準に各部の長さが求められます。
0.0秒のとき飛行機の後端部から44mのところにまだら模様があります。エンジンからの距離が60mくらいだと仮定すると,エンジンを出てから0.3秒となります。そのくらいの時間がたてばエンジン噴流は急激に減速しているものと思われます。

飛行機雲彩雲も出ていました
余談になりますが,解析に用いた飛行機雲の写真を見ると色付いています。わかりやすいように色彩補正したものが下の写真です。この飛行機雲はエンジン排気に含まれた水蒸気が凝縮してできた2本の濃い筋に加え翼の減圧により生じた雲もできています。それらが太陽の光を回折し彩雲のようになっています。

まとめ
今回は飛行機雲の解析を中心にお話ししました。今後はエンジンの文献調査も行い,本解析の妥当性の裏付けをしたいと思います。また,動画撮影中は彩雲になっていることに気付きませんでした。あとで気付いてハッピーな気分になりました。
解析にあたりChatGPTに相談しながら進めました。ChatGPTはそれらしいことをいろいろ提案してくれるのですが,どこまでが正しく何を根拠に言っているのかわからないことが多かったです。提示してくれた文献を読んだり、自分で調べたりしてなかなか大変でした。それでも,個人でいろいろ進めるのに相談に乗ってもらえるので大変助かるツールだと感じました。
