日の出の写真を撮影するためには「どこから太陽が昇るか?」を正確にする必要があります。特に望遠で撮影するときは画角が狭いので,思ったような映像を得るため特に重要になります。頻繁に日の出を見ている場合には,前回の日の出位置を参考にしてその日の位置の目星をつけることもできます。その参考とするために,日の出位置(方位)が1日でどの程度変わるか調べたので紹介します。
日の出の方位をどのように測定したらよいか?
2026年2月4~6日(3日間)の日の出を観測しました。観測場所は蒲郡の西浦です。この記事の一番最初に掲載した写真は3日間それぞれの日の出です。写真の横方向位置は写っている建物に着目してそろえてあります。この写真から日の出方位は毎日変化していることがわかります。ざっくりとならこれでわかるのですが,もう少ししっかりと毎日の方位変化を調べたいです。どのようにしたらよいでしょうか?
写真から日の出の方位を決めるのはなかなか大変です。その理由は以下の通りです。
- 太陽は地平線(水平線)に対し垂直方向には昇りません。斜め方向に動いていきます。そのため,写真を撮影した場合にはどの時刻を見ているのかで左右方向の位置が変わってきます。
- 日の出のときの太陽は大気による屈折のため変形しています。最初に示した写真の太陽も毎日形が違うことがわかります。このため,太陽の中心をどこと考えるのか難しいです。
これらに対応するため以下の方法を用いました。
- 日の出は写真ではなく動画で撮影し,そこから1分ごとのフレームを取り出して太陽の動きを追います。これにより,どの時刻を見ているのかの影響がなくなります。具体的には,1分ごとのフレームから画像解析ソフト「Image J」により太陽の輪郭を抽出し,背景色透明のGIFファイルを作成して重ねます。すると下の写真のように1分ごとの太陽の輪郭が並んだ絵が出来上がります。
- 太陽の変形に対しては,最も変形の影響を受けてないと考えられる太陽の水平方向の幅の広い部分(長径部分)に着目し,1分ごとの輪郭のその部分を結ぶ直線(白実線)を引きました。左右の白実線の中間に白破線を描き,これを太陽中心の軌跡と考えます。



日の出の方位は,白破線で描いた太陽中心の軌跡が海と陸の境界と交わる点の方向とします。
日の出方位の変化
下の図は補助線を描いたものを3日分並べたものです。これには,青実線で海と陸の境界が記載してあります。白破線と青実線の交点が日の出の方位です。日の出方位を比較すると1日あたりの変化量がわかり,それは太陽直径の0.70倍でした。太陽の視直径は約0.53°なので1日の日の出方位の変化量は0.37°(=0.53×0.70)となります。

日の出方位を計算する式があるので,観測した値と計算値を比較しましょう。計算式と計算結果を以下に示します。日の出方位角は正弦波状に変化し,今回観測した2月5日あたりでの1日の変化量は北の方角に0.36°移動する計算となります。観測値との差は0.01°で,それなりの精度で観測できていることがわかりました。

まとめ
日の出の方位が1日でどのくらい変化するか観測して計算値と比較した結果,その差は0.01°でそこそこの精度を得ることができました。また,2月頃の日の出方位の1日あたりの変化量は太陽直径の0.7倍くらいとわかりました。これから日の出を観測するときはこれを参考にしてカメラの向きを設定しようと思います。
