今回観測された蜃気楼は縦に伸びるものと上下が反転するものが混在していました。この日は風が弱い日でした。そのため,空気の温度分布が単純な上暖下冷(上位蜃気楼)や下暖上冷(下位蜃気楼)ではなく,もう少し複雑になっていたと考えられます。
当日の状況
2026年3月22日の午前中は高気圧に覆われ風が弱く日照があり,大変穏やかな日でした。昼の12時を過ぎたころから高気圧の西にある低気圧の影響で雲が広がり日照がなくなりました。そのため,アメダスの気温については,12時以降の上昇が抑えられています。観測は蒲郡の西浦から行いましたが,蜃気楼が見えたのは晴れから曇りに切替わる12時頃でした。

観測された蜃気楼
下の写真は三河湾に浮かぶ小島です。2枚は見ている高さが異なります。下の写真の方が低いところから見ており,島と海面の境目に見える蜃気楼の層が厚くなっています。蜃気楼の像をよく見ると,伸びながら上下が反転したものとなっています。

つぎの写真に写っている白い建物はラグーナベイコート倶楽部です。その建物の右側には三河大島の端っこが写っています。また,蜃気楼による変化がわかりやすいように,蜃気楼なしのときの写真も掲載してあります。

下の写真はラグーナ蒲郡方面です。これも比較のため蜃気楼なしの写真を並べてあります。

下の写真は蒲郡三谷町付近の海岸です。防波堤の手前にテトラポットがありますが,それが伸びてきれいな模様を描いています。

最後は三河湾を航行している船です。上側の写真では,船(FUJITRANS)は新来島豊橋造船付近を西に向かって航行しており.下の写真はその7分後です。7分後の写真では「FUJITRANS」の文字がくっきり見えています。文字の一部が下に反転して見えていますが,これは単純な下位蜃気楼と思われます。これに対し,新来島豊橋造船付近のモノは文字が縦に伸び,グレーの帯を挟んで下に反転しています。こちらは単純な下位蜃気楼ではなく,空気の温度分布はより複雑になっていると推測されます。

まとめ
今回は伸びと反転が混在する蜃気楼を見ることができました。風が非常に弱く複雑な温度分布が保たれたおかげと思っています。蜃気楼の出現の仕方や気象条件にいろいろなパターンがあることがわかり奥の深さを感じました。
